アキュレティック20mg/12.5mgは、俗にACE阻害薬と呼ばれるアンジオテンシン変換酵素阻害薬と、利尿作用を持つヒドロクロロチアジドの2剤を配合した高血圧治療薬です。
アンジオテンシンは、受容体と呼ばれる受け皿と結合して心臓の収縮力を高め、細動脈が収縮することで血圧を上昇させる働きを持つ生理活性物質です。
アンジオテンシンは全部で4種類あり、このうちアンジオテンシンIだけは昇圧作用を持っていませんが、アンジオテンシン変換酵素(ACE)の作用によって、特に強力な昇圧作用を持つアンジオテンシンIIという物質に変わります。このアンジオテンシンIIは血管平滑筋を収縮し、副腎皮質からアルドステロンというホルモンの分泌を促進するなど、高血圧の原因のひとつとして深く関わっています。この働きを抑えるのが、アンジオテンシン変換酵素阻害薬です。
アキュレティック20mg/12.5mgの有効成分のひとつである塩酸キナプリルは、服用後に消化管から吸収されてキナプリラートという活性代謝物に変化し、血液中や血管壁などに存在するアンジオテンシン変換酵素の働きを強力かつ持続的に阻害します。この作用によりアキュレティック20mg/12.5mgは、アンジオテンシンIがアンジオテンシンIIに変換する過程を抑制し、血圧を上げないように働きかけます。
またアンジオテンシン変換酵素には、血管を拡張して血圧を低下させる作用を持つブラジキニンを分解してしまう働きもありますが、アキュレティック20mg/12.5mgのアンジオテンシン変換酵素阻害作用によりブラジキニンの分解も防ぐため、さらなる降圧効果が期待できます。
もうひとつの配合成分であるヒドロクロロチアジドは、チアジド(サイアザイド/チアザイド)系に属する利尿成分です。尿細管におけるナトリウム再吸収を抑制することによって循環血液量が減り、その結果として降圧作用を示します。
日本では食塩摂取量が多く、インスリン分泌能も低いケースが多いことから、利尿薬による低カリウム血症や高尿酸血症などの副作用が危惧されてきました。しかしアキュレティック20mg/12.5mgは、利尿効果による降圧のほかに塩酸キナプリルによる降圧作用も期待できることから、ヒドロクロロチアジドを通常投与量(25mg)の半分まで減らすことが可能になり、このような副作用の発現はきわめて少ないと考えられています。また少量の利尿薬は、脳卒中および冠動脈疾患などを抑制することも知られています。
このように、血圧を上げる物質の合成阻害および、利尿作用による降圧という2つの異なる作用と相乗効果で、アキュレティック20mg/12.5mgは高血圧に対して優れた治療効果を発揮します。